この記事のポイント

  • 六曜は仏教とも神道ともまったく関係のない、中国由来の暦の慣習
  • 「仏滅の結婚式はダメ」という決まりはなく、費用や予約のとりやすさというメリットもある
  • 六曜より古くから使われていた「十二直」、月の通り道を28に分けた「二十八宿」という物差しもある
  • 六曜・十二直・二十八宿の吉凶が食い違うことは珍しくなく、そのときの考え方も紹介
  • 大切なのは「気にする人がいるかどうか」を軸に、家族と話し合って選ぶこと

結婚式場の予約サイトを開いたら、希望していた日だけ「仏滅」の文字。せっかく決めかけていたのに、急に不安になった——そんな経験、ありませんか?

親世代に相談したら「仏滅だけはやめてちょうだい」と言われてしまった、なんて話もよく聞きます。かと思えば、友人からは「今どき六曜なんて気にしなくていいよ」とも言われる。どちらの意見にも一理あるだけに、余計に迷ってしまいますよね。

この記事では、六曜がそもそも何に由来する慣習なのか、仏滅に結婚式を挙げることの是非をどう考えればいいのかを整理します。そのうえで、六曜だけでなく「十二直」「二十八宿」という、あまり知られていない暦の物差しも紹介しながら、後悔しない日取りの選び方まで踏み込んでいきますね。

暦の吉凶に迷う心を月明かりが照らす

六曜とは?大安・仏滅・友引…6種類の意味をまず整理

六曜6種類がめぐる関係を円で整理 図1: 六曜6種類がめぐる関係を円で整理

六曜(ろくよう)とは、先勝・友引・先負・仏滅・大安・赤口の6種類からなる、日の吉凶を占う暦注(れきちゅう)のことです。カレンダーの日付の下に小さく書かれているアレ、と言えばピンとくる方も多いと思います。

この6つは固定の周期で繰り返されるだけの、いたってシンプルな仕組みです。それぞれの意味を表にまとめました。

六曜読み方意味の目安
先勝せんしょう午前が吉、午後は凶。急ぐことに向く日
友引ともびき朝晩は吉、正午は凶。慶事に good だが弔事は避けられがち
先負せんぶ午前は凶、午後は吉。控えめに過ごすのが吉とされる日
仏滅ぶつめつ六曜の中でもっとも凶とされる日
大安たいあん一日を通して吉。六曜でもっとも縁起がいいとされる日
赤口しゃっこう正午のみ吉、それ以外は凶とされる日

大安は「何をやってもうまくいく日」として結婚式や入籍に人気が集中しやすく、逆に仏滅は避けられがちです。友引も、字面から「友を引く」と読めてしまうため、お葬式では避ける慣習が今も根強く残っています。もっとも、これは暦注のうえでの解釈であって、宗教的な教義に基づくものではありません。

六曜の由来〜仏教とは無関係、実は中国生まれの暦の慣習

中国から海を渡ってきた暦のイメージ 中国から海を渡ってきた暦のイメージ

六曜は仏教や神道の教えとはまったく関係がなく、中国の陰陽道の暦がルーツになっています。「仏滅」という字面から仏教関連だと誤解されがちですが、実際には無関係というのが、六曜を扱う複数の解説サイトで共通して説明されている点です。

日本に伝わったのは鎌倉〜室町時代ごろとされていますが、江戸時代末期までは特に注目される存在ではありませんでした。幕末になって暦に積極的に載るようになり、いったんは明治政府によって「迷信」として暦への記載が禁止された時期もあります。それが第二次世界大戦後、規制がなくなったことで再び広まり、今のような形で定着したという流れです。

つまり六曜は、由緒正しい古代宗教の教えというより、江戸〜近代の日本で「縁起担ぎの物差し」として育っていった暦の慣習に近いんですよね。この成り立ちを知っておくと、「絶対に守らないといけないルール」ではなく「昔から使われている目安のひとつ」として、少し肩の力を抜いて向き合えるのではないかと思います。

仏滅に結婚式を挙げてはいけない、は本当なのか

結論から言うと、仏滅に結婚式を挙げてはいけないという決まりはなく、六曜の由来を踏まえれば宗教的な問題も生じません。六曜はあくまで縁起の目安であって、仏滅に式を挙げたカップルの結婚生活に何か違いが出るというようなデータもありません。

むしろ実務的には、仏滅を選ぶことで得られるメリットもあります。仏滅を避けるカップルが多い分、式場の予約が取りやすく、割引プランや特典が用意されているケースが少なくないんです。会場費や装花、ドレスのレンタル料が優待になるといったプランを出している式場もあり、費用を抑えたいカップルにとってはむしろ狙い目の日取りとも言えます。

とはいえ、気になるのは自分たちの気持ちよりも、家族や親族の受け止め方だったりしますよね。年配の親族ほど六曜を重視する傾向があるのは事実で、悪気なく心配されることもあります。ここで大事なのは「六曜は迷信だから気にしなくていい」と切り捨てることではなく、気にする人がいるという事実そのものを尊重しつつ、日取りの選択肢を広げる方向で考えることだと思います。例えば「入籍は大安に、挙式は別日に」という形にして、両方の気持ちに折り合いをつけるカップルも少なくありません。

【事例(フィクション)】

30代のBさんは、憧れていた式場の空き日が仏滅しか残っておらず悩んでいました。本人たちは日取りにこだわりがなかったものの、母親から「仏滅だけはやめてほしい」と強く言われ、板挟みに。式場のプランナーに相談したところ、仏滅の割引プランと、十二直で「建(たつ)」にあたる吉日だったことを知り、その説明を添えて母親に伝えたところ、納得してもらえたそうです。結果的に、費用を抑えながら気持ちよく当日を迎えられたといいます。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

六曜だけじゃない。十二直で見る婚礼の吉凶

十二直12種類の円環と婚礼吉凶の位置 図2: 十二直12種類の円環と婚礼吉凶の位置

十二直(じゅうにちょく)とは、建・除・満・平・定・執・破・危・成・納・開・閉の12種類からなる、六曜より古くから使われてきた暦注のことです。北斗七星の柄の部分が天球上をどう回転するかを基準にした、天文学的な要素の強い占術で、飛鳥時代にはすでに日本で使われていた記録が残っています。昭和初期までは、六曜よりも重視されていた時期があったとも言われています。

婚礼との関係では、「閉(とづ)」の日は婚礼に凶とされる一方、「建(たつ)」は物事を始めるのに向く吉日とされます。建築の世界でも、棟上げや柱建てを「破(やぶる)」や「閉」の日にするのは凶と考えられてきました。

十二直の意味をざっくり並べると、建(始める)・除(不浄を払う)・満(満ちる)・平(平らか)・定(物事が定まる)・執(執り行う)・破(破る)・危(危うい)・成(成就する)・納(納める)・開(開く)・閉(閉じる)という、それぞれの漢字のイメージがそのまま日の性質になっている、と捉えるとわかりやすいと思います。六曜が「良い日・悪い日」という二極的な物差しなのに対して、十二直は「その日にどんな行動が向いているか」という行動指針に近いのが特徴です。

さらに細かく見るなら「二十八宿」という物差し

二十八宿のうち婚礼の吉凶宿を対応図で 図3: 二十八宿のうち婚礼の吉凶宿を対応図で

二十八宿(にじゅうはっしゅく)とは、月が地球を一周する間に通過する星座を28に分けた、婚礼や引っ越しなどの吉凶を占う暦注のことです。中国・周の時代に、もともとは月の位置を把握するための天文学的な区分として生まれ、唐の時代に日の吉凶を占うものとして日本に伝わりました。

二十八宿は流派や暦本によって解釈に差があるものの、一般的な目安は次のようになっています。

分類主な宿婚礼への意味
婚礼に向くとされる宿亢宿・房宿・尾宿・参宿・張宿・軫宿祝い事全般や結納・婚礼に吉とされる
婚礼を避けたいとされる宿心宿・虚宿・危宿・女宿・柳宿婚礼には凶、あるいは注意が必要とされる

六曜や十二直に比べると知名度は低いものの、暦を専門に扱うサイトでは「六曜だけで決めず、十二直・二十八宿も併用して総合的に判断するとよい」としばしば紹介されています。3つを同時に満たす日を探すのは正直かなり大変なのですが、「今日は六曜的にはイマイチだけど、十二直では吉日だった」というように、別の角度から日を見直すきっかけにはなると思います。

六曜・十二直・二十八宿がバラバラなときの選び方

複数の物差しが調和していくイメージ 複数の物差しが調和していくイメージ

3つの暦注は成り立ちも周期もそれぞれ違うため、結果が一致しないのはむしろ自然なことです。ここで焦って「全部が吉の日」を探し回る必要はありません。

カナエとしておすすめしたいのは、優先順位を「誰のために選ぶか」で決めるという考え方です。ご自身たちだけで完結する予定なら、六曜も十二直も二十八宿も、参考程度に留めて構わないと思います。一方で、両親や親族の中に暦を気にする方がいるなら、その方が一番なじみのある物差し(多くの場合は六曜)を軸にして、十二直や二十八宿は「補足の説明材料」として使うのが現実的です。「仏滅ではあるけれど、十二直では吉日にあたる」と伝えられれば、相手の気持ちに配慮しつつ、日取りの選択肢を広げられます。

なお、こうした先人の知恵の積み重ねという意味では、結婚運を四柱推命の配偶者星から読む方法のように、婚期そのものを占術で見立てるアプローチもあります。日取り選びに限らず「結婚に向けたタイミング」自体に迷いがあるなら、あわせて参考にしてみてもいいかもしれません。また、六曜や十二直は中国の陰陽五行の考え方とも深くつながっており、立秋のように季節の節目を五行で読み解く記事を読むと、暦がどんな発想で組まれているのか、もう少し立体的に理解できると思います。

よくある質問

Q:友引に結婚式を挙げるのは大丈夫ですか? 友引はもともと「引き分け」を意味する日で、慶事には向くとされています。お葬式で避けられがちなのは「友を引く」という字面のイメージによるもので、結婚式にとってはむしろ縁起のいい日とされることが多いです。

Q:入籍と結婚式で日取りを変えても問題ないですか? まったく問題ありません。入籍は大安に、挙式は式場の空き状況や記念日に合わせて別日にする、という選び方をするカップルは珍しくないです。両方の気持ちを立てられる、現実的な方法のひとつだと思います。

Q:十二直や二十八宿は、どこで自分の希望日の分を調べられますか? 旧暦をもとにした暦注が掲載されているカレンダーサイトや、市販の「開運暦」「高島暦」などで確認できます。六曜より情報量が少ないぶん、専門の暦本やサイトを頼るのが確実です。

Q:親と意見が分かれたときはどうすればいいですか? 六曜だけでなく十二直・二十八宿も併せて確認し、「別の見方では吉日にあたる」という材料を用意して話し合うと、感情的な対立になりにくいです。最終的にどう決めるかは、ふたりと両家の納得感を優先してよいと思います。

Q:占いに詳しくなくても、日取りの相談はできますか? はい、大丈夫です。六曜や十二直の知識がなくても、今の気持ちや家族との関係を整理する形で相談することはできます。電話占いのようなサービスを使う場合は、鑑定内容を録音・メモして振り返る工夫をしておくと、後から家族に説明するときにも役立つと思います。

まとめ

仏滅に結婚式を挙げてはいけない、という決まりはありません。六曜は仏教とも神道とも無関係な、中国由来の暦の慣習であり、絶対的なルールというより「昔からの目安」として存在してきたものです。仏滅には予約の取りやすさや割引といった現実的なメリットもあり、視点を変えれば決して避けるべき日ではないと言えます。

一方で、六曜より古い十二直や、月の通り道を28に分けた二十八宿という、別の物差しがあることも知っておくと選択肢が広がります。3つの結果が一致しないのは自然なことなので、「誰のために、どの物差しを優先するか」を軸に考えてみてください。日取りに迷ったときは、占いを答えとしてではなく、自分と家族の気持ちを整理するためのきっかけとして使ってみる。それくらいの距離感で付き合うのが、ちょうどいいのではないかと思います。