この記事のポイント

  • 土用とは、立春・立夏・立秋・立冬それぞれの直前およそ18日間のことで、実は夏だけでなく年4回あります
  • 2026年の土用は冬(1/18〜2/3)・春(4/17〜5/4)・夏(7/20〜8/6)・秋(10/20〜11/6)の4回です
  • 間日は、土用中でも例外的に土を動かしてよいとされる日で、季節ごとに決まった十二支の日にあたります
  • 土用は「土を動かすこと」「新しいことを始めること」を避けるとされる期間ですが、絶対禁止のタブーではありません
  • うなぎを食べる習慣は夏だけの話で、実は季節ごとに違う「うのつく食べ物」ならぬ食べ物の風習があります

「今日は土用の丑の日だから、うなぎ食べようかな」——そんな会話、夏になると一度は耳にしますよね。でも、その「土用」が実は夏だけじゃなく年に4回もあるって、知っていましたか? しかも期間中は「土いじりをしてはいけない」「引っ越しは避けたほうがいい」なんて話も聞くけれど、具体的に何がダメで、いつなら大丈夫なのか、実はよくわからないまま毎年スルーしている人も多いんじゃないかと思います。

土用とは、季節の変わり目に置かれた特別な期間のことです。この記事では、土用がなぜ年4回もあるのかという由来から、2026年の具体的な期間、「間日」と呼ばれる例外日の調べ方、そして土用中に避けたほうがいいとされることまで、順を追って整理していきますね。読み終えるころには、「なんとなく気にしてたけど実はよくわかってなかった」という状態から抜け出して、自分の暮らしにちょうどいい距離感で土用と付き合えるようになっているはずです。

季節の変わり目に流れる、土用という時間

土用とは?年に4回ある「季節の変わり目」の期間のこと

一年をめぐる、四回の土用の位置 図1: 一年をめぐる、四回の土用の位置

土用とは、立春・立夏・立秋・立冬という季節の節目の直前、それぞれ約18日間のことを指します。つまり夏だけでなく、春・夏・秋・冬すべての季節の変わり目に土用は存在しているんです。

2026年の土用期間は、次の表のとおりです。

季節期間(2026年)重要な干支の日
冬土用1月18日〜2月3日未(ひつじ)の日(1/27)
春土用4月17日〜5月4日戌(いぬ)の日(4/21・5/3)
夏土用7月20日〜8月6日丑(うし)の日(7/26)
秋土用10月20日〜11月6日辰(たつ)の日(10/30)

「土用の丑の日」という言葉があまりに定着しているせいで、土用そのものが夏の行事だと思い込んでいる人は少なくありません。でも本来は、季節が切り替わるたびに巡ってくる、いわば「季節の助走区間」のようなもの。次の季節に体と心を慣らしていく準備期間、と捉えるとイメージしやすいかもしれません。

なぜ年4回も?土用が生まれた五行説の由来

木・火・土・金・水がめぐる五行の環 木・火・土・金・水がめぐる五行の環

土用が年4回あるのは、古代中国の陰陽五行説で「土」が季節に割り当てられなかったからです。五行説では、あらゆるものを木・火・土・金・水の5つに分類し、それぞれを季節にも当てはめます。木は春、火は夏、金は秋、水は冬——ここまでは4つの季節にぴったり収まりますが、残った「土」だけが行き場を失ってしまうんですね。

そこで昔の人は、土を各季節の変わり目に少しずつ配分することにしました。これが「土旺用事(どおうようじ)」、つまり土の気が盛んに働く期間という意味で、これを略したものが「土用」という言葉の由来です。ちょっと意外ですよね、夏の風物詩というより、もともとは暦の仕組みそのものだったなんて。

季節をまたぐタイミングで運気の流れを意識するという発想は、方位から運気を読む九星気学の吉方位の考え方とも通じるところがあります。土用の時期は方位の吉凶も普段と変わるとされていて、土用と方位はセットで語られることも多いんです。

土用の間日とは?土を動かしてもいい特別な日の調べ方

季節ごとに巡る間日の干支まとめ表 図2: 季節ごとに巡る間日の干支まとめ表

間日(まび)とは、土用期間中であっても例外的に土を動かす作業をしてよいとされる日のことです。土用は「土公神(どくじん)」という土の神様が支配する期間とされ、土いじりを控える風習がありますが、間日には土公神が天上に招かれて地上を離れるため、作業をしても差し支えないと言い伝えられています。

間日は季節ごとに決まった十二支に対応していて、ひとつの土用の中に3〜6日ほど巡ってきます。

季節間日にあたる干支
春土用巳・午・酉の日
夏土用卯・辰・申の日
秋土用未・酉・亥の日
冬土用寅・卯・巳の日

調べ方はシンプルで、カレンダーアプリや暦のサイトで該当期間の日付ごとの干支を確認し、上の表の十二支と照らし合わせるだけです。庭仕事や外構工事などでどうしても土用中に土を動かす必要が出てきたときは、この間日を選んで作業日を組むと気持ちの面でも安心しやすいと思います。

【事例(フィクション)】

30代のBさんは、庭のリフォーム業者から「工事は来週から」と急に日程を提示され、その週がちょうど夏土用にあたることに気づいて戸惑ったそうです。とはいえ工期をずらすのも難しく、暦を調べてみると間日が1日だけ含まれていることがわかりました。Bさんは業者に相談し、地面を掘り起こす作業だけをその間日に合わせてもらうことに。すべてを土用のせいで諦めるのではなく、「動かせる部分だけ動かす」という折衷案にたどり着けたことで、気持ちよく工事を進められたといいます。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

土用にやってはいけないこと〜土いじり・引っ越し・新しいこと

動かず、そっと待つ季節の静けさ 動かず、そっと待つ季節の静けさ

土用中に避けたほうがよいとされるのは、大きく分けて「土を動かす行為」と「新しいことを始める行為」の2つです。前者は地鎮祭や基礎工事、造園、庭の穴掘り、畑仕事など。後者は引っ越し、転職、結婚、開業、大きな契約ごとなどが該当します。

土を動かす行為が避けられる理由は、先ほど触れた土公神の言い伝えによるものです。一方で新しいことを始めるのを避けるのは、土用がそもそも「次の季節への準備期間」だからだと言われています。何かを始めるタイミングとしては、まだ足場が固まっていない、というイメージですね。九星気学の視点では、土用の時期は季節ごとに決まった方位が「土用殺」と呼ばれる凶方位にあたるとされ、その方角への引っ越しや旅行は特に避けたほうがよいという考え方もあります。

とはいえ、これらは絶対的な禁止事項ではありません。土用は季節の変わり目にあたるぶん、気温や湿度の変化で自律神経が乱れやすく、体調やメンタルが不安定になりがちな時期でもあります。「大きな決断をするには、ちょっと調子が万全じゃないかもしれない」——そのくらいの目安として捉えておくのが、現実的な付き合い方だと思います。

うなぎだけじゃない〜季節ごとの「土用グルメ」で運気を整える

季節でめぐる土用グルメの対応表 図3: 季節でめぐる土用グルメの対応表

土用に食べ物で運気を整える習慣は、夏の「うのつく食べ物」だけの話ではありません。実は春夏秋冬それぞれに、頭文字を意識した食べ物の風習があるんです。

季節重要な日意識する頭文字・色
春土用戌の日「い」のつく食べ物・白い食べ物(いわし、いちご、大根など)
夏土用丑の日「う」のつく食べ物(うなぎ、うり、梅干しなど)
秋土用辰の日「た」のつく食べ物・青い食べ物(たこ、大根、さんまなど)
冬土用未の日「ひ」のつく食べ物・赤い食べ物(ひらめ、りんご、トマトなど)

なぜ夏だけ「う」なのに、他の季節は違う文字なのか——これは各季節の重要な日の干支と反対側にあたる干支の頭文字を採用しているからだと言われています。五行説では対極にあるものを補い合わせる考え方があり、その名残がこの食べ物の風習にも表れているんですね。

うなぎしか知らなかった人からすると、少し新鮮な発見じゃないでしょうか。季節の変わり目に旬の食材で体をいたわるという発想自体は、栄養学的にも理にかなっている部分があります。験担ぎとしてだけでなく、単純に季節の変わり目の養生として取り入れてみるのも良いと思います。

土用に土いじりや引っ越しをしてしまったら、どうすればいい?

うっかり土用中に土いじりや引っ越しをしてしまっても、深刻に受け止めすぎる必要はありません。これは古くからの言い伝えであって、破ったからといって何か具体的な不利益が確定するというものではないからです。

とはいえ「なんだか気になってしまう」というときは、神社でお祓いを受けたり、次の間日に改めて土に触れて区切りをつけたりする人もいます。大切なのは、行動そのものよりも「気になったまま放置してモヤモヤし続けること」を避けることだと思います。気になるなら、自分が納得できる形でひと区切りつける——それだけで十分なんじゃないかと思います。

もともと土用は、絶対的なルールというより「季節の変わり目は無理をしすぎず、体をいたわりましょう」という昔の人の生活の知恵です。スケジュールの都合でどうしても動かせないことは、あまり気に病みすぎなくて大丈夫ですよ。

よくある質問

Q:土用の丑の日と土用は同じ意味ですか? 違います。土用は年4回訪れる約18日間の期間全体を指し、丑の日はその期間中にある干支が「丑」にあたる特定の1日(または2日)のことです。夏土用の丑の日にうなぎを食べる習慣が有名なため、土用=丑の日というイメージが定着していますが、本来は期間と特定日という別の概念になります。

Q:土用の期間はどうやって決まるのですか? 土用の期間は、立春・立夏・立秋・立冬という二十四節気の節目から逆算して決まります。それぞれの直前およそ18〜19日間が土用にあたり、年によって1日程度前後することがあります。正確な期間を知りたいときは、その年のカレンダーや暦のサイトで確認するのが確実です。

Q:間日を過ぎてしまったら、次の間日まで待つしかないですか? 基本的には次の間日を待つのが望ましいとされますが、工事の都合などでどうしても難しい場合もあると思います。そうした場合は、気になるようであれば神社でのお祓いなど自分なりの区切りをつける方法もあります。絶対的な決まりというより、気持ちの面での安心材料として捉えるとよいと思います。

Q:土用の期間中に旅行の予定を入れてしまいました。キャンセルすべきですか? 必ずしもキャンセルする必要はありません。土用中の旅行は避けたほうがよいという考え方がある一方、現代では実務やスケジュールを優先する場面も多くあります。気になるようであれば、道中の体調管理をいつもより意識するくらいの気持ちで臨むのがちょうどいいバランスだと思います。

まとめ

土用は、立春・立夏・立秋・立冬の直前に訪れる、年4回の「季節の変わり目」期間です。土いじりや新しいことを始めるのを避けるとされる背景には、土公神の言い伝えと、季節の変わり目ならではの体調・気持ちの不安定さへの配慮がありました。間日という例外日をうまく活用すれば、必要な作業を止めてしまう必要もありません。

土用にまつわる風習は、どれも「絶対に守らなければならないタブー」ではなく、季節の節目に少し立ち止まって自分をいたわるための知恵だと私は思っています。次に土用の時期がめぐってきたら、間日をカレンダーでチェックしてみたり、その季節ならではの食べ物を意識してみたり——そんな小さな一歩から、季節の変わり目との付き合い方を見つけてもらえたら嬉しいです。