この記事のポイント

  • 梅花心易は筮竹を使わず、数字や時刻から64卦を立てる易占いです
  • 北宋時代の邵康節が創始したとされ、先天法と後天法という2つの立卦方法があります
  • 生年月日や時刻を8で割った余りから上卦・下卦を、6で割った余りから変爻を求めます
  • 伝統的な筮竹占い(本筮法・略筮法)とは道具も手順もまったく別物です
  • 道具がいらないぶん、日常のちょっとした迷いにも気軽に使える占い方として知られています

スマホの時計をふと見たら「11時11分」だった。信号待ちで目に入った車のナンバーが「777」だった——そんな「ちょっと意味ありげな数字」に、思わず立ち止まったことはありませんか?

実は易占いの世界には、そういう「目についた数字」をそのまま占いの材料にしてしまう流派があります。それが梅花心易です。筮竹(ぜいちく)も算木も使わず、頭の中の計算だけで卦(か)を立てられるのが最大の特徴で、易占いというと身構えてしまう人でも、意外ととっつきやすい入り口になっています。

この記事では、梅花心易がどういう占いなのか、実際にどうやって卦を立てるのか、そして「本筮法」「略筮法」といった伝統的な易占いとは何が違うのかを、順を追って整理していきます。読み終わるころには、数字ひとつからでも易を立てる仕組みがイメージできるようになっているはずです。

数字から浮かび上がる、もうひとつの易の世界

梅花心易とは?筮竹を使わない易占いの正体

数字ひとつから広がる、易占いの入り口 数字ひとつから広がる、易占いの入り口

梅花心易とは、生年月日や時刻、目にした物の数などを数値に変換して卦を立てる易占いの一種です。中国・北宋時代(11世紀)に体系化されたとされ、周易(易経)の八卦・六十四卦の理論をベースにしながらも、占う方法だけを大きく簡略化しているのが特徴です。

一般的な易占いというと、筮竹をジャラジャラと操る、あの独特の光景を思い浮かべる人が多いと思います。でも梅花心易には、その道具立てが一切登場しません。生年月日、腕時計の数字、目に入った物の個数、耳にした音の回数——身の回りにあるあらゆる「数」を材料にできてしまうんです。

だからこそ「いつでもどこでも占える易」と紹介されることが多い占法です。占い師の鑑定ルームだけでなく、通勤電車の中でも、ふと気になったその瞬間にも、頭の中だけで卦を立てられる。この手軽さが、他の易占いとの一番大きな違いだと思います。

梅花心易を生み出した邵康節――ある出来事から生まれた占法

梅の花から生まれた、ひとつの占いの物語 梅の花から生まれた、ひとつの占いの物語

梅花心易は、北宋時代の学者・邵康節(しょうこうせつ、1011〜1077年)が創始したと伝えられています。邵康節は「北宋の五子」と称される儒学者のひとりで、易の理論に独自の解釈を加えたことで知られる人物です。

伝承によれば、梅の花が争っているのを見かけたことがきっかけで、この占法の着想を得たとも言われています。だから「梅花」の名がついている、という説明がよくされているんですね。真偽のほどを厳密に確かめるのは難しいですが、日常のふとした光景から占いのヒントを拾うという梅花心易らしい成り立ちだと感じます。

もともと易経は、国の吉凶や重要な意思決定のために使われてきた、かなり格式の高い占術でした。それを邵康節が「もっと身近な事象からも卦を立てられるはずだ」という発想で再構成したのが梅花心易だと理解すると、この占法の位置づけがつかみやすくなると思います。

梅花心易の立卦方法「先天法」と「後天法」の違い

数字から占うか、出来事から占うか 図1: 数字から占うか、出来事から占うか

梅花心易には、卦を立てる方法が大きく分けて先天法と後天法の2種類あります。先天法は生年月日や時刻といった「数字」から卦を立てる方法、後天法は日常で目にした出来事や物の様子から卦を立てる方法です。

先天法は、占おうと思い立った瞬間(これを「占機(せんき)」と呼びます)の年・月・日・時刻を数値化して計算する、いわば型が決まったやり方です。次の章で実際の手順を紹介します。

一方の後天法は、もっと自由度が高いのが特徴です。たとえば「目の前を横切った鳥が何羽だったか」「声をかけられたときの言葉が何文字だったか」といった、その場で偶然目にした事柄を数に変換して卦を立てます。何を材料にするかは占う人の裁量に委ねられている部分が大きく、経験を積むほど「これは占機になりそうだ」という勘所がつかめてくると言われています。

どちらが正しいということはなく、状況に応じて使い分けるのが本来のスタイルです。数字がすぐ思い浮かぶなら先天法、目の前の出来事から占いたいなら後天法、というくらいの気軽さで捉えておくとよいと思います。

【実践】数字から卦を立ててみる具体的な手順

先天法での立卦は、年・月・日・時刻の数字を足し算し、8と6で割った余りから卦を決めるという計算で成り立っています。手順は次の通りです。

  1. 年・月・日・時刻をそれぞれ数値に置き換える(年は干支の何番目か、時刻も干支の何番目かで数える)
  2. 「年+月+日」の合計を8で割り、余りの数から上卦(じょうか)を出す
  3. 「年+月+日+時刻」の合計を8で割り、余りの数から下卦(げか)を出す
  4. 同じ合計を6で割り、余りの数から変爻(へんこう=変化する爻)を出す

数への置き換えには「先天八卦数」という対応表を使います。

12345678
乾(天)兌(沢)離(火)震(雷)巽(風)坎(水)艮(山)坤(地)

たとえば「7月29日20時」という数字で考えてみます(年の数はここでは仮に7とします)。上卦は「7+7+29=43」を8で割った余り3で「離(火)」、下卦は時刻の数11を足した「43+11=54」を8で割った余り6で「坎(水)」。上に離、下に坎が重なるので「火水未済(かすいびせい)」という卦が立ちます。さらに54を6で割ると余りは0(この場合は6として扱います)なので、一番上の爻が変化する爻ということになります。

数字を当てはめていくだけなので、慣れれば数十秒で卦が立てられます。ここが、後述する筮竹を使う易占いとの一番大きな違いです。ちなみに、この計算は本来は旧暦(太陰太陽暦)の年月日で行うのが伝統的なやり方とされていて、新暦の日付をそのまま使う簡易的な流派もあります。厳密にやりたい人は、この違いを知っておくと迷いにくいと思います。

【事例(フィクション)】

30代のBさんは、今の会社で働き続けるか転職するかで数ヶ月悩んでいました。ある夜、駅のホームで電光掲示板に表示された「次の電車まで6分」という数字が妙に気になり、後天法の考え方で卦を立ててみたそうです。出てきた卦の象意を調べるうちに、Bさんは「今は動く時期というより、今の場所で足元を固める時期なのかもしれない」と感じ、転職活動を焦って進めるのをいったん止め、まずは今の仕事で自分が何を積み上げたいのかを整理することにしたといいます。

※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。

体卦・用卦・互卦・変卦は何を表しているの?

ひとつの卦を4つの視点で読み解く構造 図2: ひとつの卦を4つの視点で読み解く構造

梅花心易では、立てた卦をそのまま読むのではなく、体卦・用卦・互卦・変卦という4つの視点に分解して解釈するのが基本です。体卦は占う本人の状態を、用卦は相手や対象物の状態を表すとされています。

上卦と下卦のどちらが体(占う本人)でどちらが用(相手・対象)になるかは、立卦のやり方によって決まりのパターンがあります。この体卦と用卦の力関係——五行でいう「生じる・剋する」の関係——を見て、今のバランスが良いか悪いかを判断するのが基本的な読み方です。

互卦は、本卦の真ん中の4つの爻(2〜5爻目)を組み替えて作る、いわば「隠れた卦」です。物事の中間過程、表には出てこない裏側の事情を映すものとされています。そして変卦は、変爻によって本卦から変化した後の卦で、物事の行く末や結果の方向性を示すと解釈されます。

つまり梅花心易は、体卦=現在の自分、用卦=相手や状況、互卦=表に出ていない経緯、変卦=この先の流れ、という4つのレイヤーで物事を立体的に見ていく占い方なんですね。ひとつの卦だけを見て一喜一憂するのではなく、この4つを組み合わせて総合的に判断する視点が、梅花心易らしいところだと思います。

本筮法・略筮法との違い——何が違って、何が同じなのか

本筮法・略筮法は、梅花心易とは異なる、筮竹を使う伝統的な易占いの立卦方法です。筮竹を49本(または50本)用いて何度も操作を繰り返し、その本数の増減から卦を導き出します。

筮竹を使う立卦法には、主に3つの種類があります。

名称別名筮竹の操作回数特徴
本筮法十八変筮法18回繋辞伝に記された最も伝統的な方法。時間がかかるため現代ではほぼ使われない
中筮法六変筮法6回本筮法を簡略化。変爻が複数出ることも、まったく出ないこともある
略筮法三変筮法3回最も簡易な方法。必ずどれか1つの爻が変爻になる

梅花心易と略筮法には、実は似ている点があります。どちらも「変爻が必ず1つ出る」という仕組みです。梅花心易の数字計算でも、6で割った余りから変爻を1つだけ特定するので、結果として略筮法と同じ性質を持つことになります。

一方で、卦を立てるまでのプロセスはまったくの別物です。本筮法・中筮法・略筮法はいずれも筮竹という物理的な道具を操作して卦を導きますが、梅花心易は道具を一切使わず、数字の計算だけで完結します。系統としても、梅花心易は周易の筮竹占いとは別の流れとして発展してきた占法だと理解しておくとよいと思います。

数字を使って運勢を読み解く占いという意味では、数秘術のライフパスナンバーにも通じるところがあります。生年月日を数値化して読むという発想は共通していますが、易の理論に基づく梅花心易と、数字そのものの象意を読む数秘術とでは、体系がまったく違う点は押さえておきたいところです。

よくある質問

Q:梅花心易は初心者でも占えますか? 先天法であれば、生年月日や時刻を8・6で割って余りを出すだけなので、易経の知識がなくても手順自体は真似できます。ただし、出てきた卦の象意を正しく読み解くには易の基礎知識が必要になるので、最初は解説つきの資料を見ながら練習するのがおすすめです。

Q:先天法と後天法、どちらを使えばいいですか? 決まった答えはありません。すぐに使える数字(生年月日や時刻)から占いたいときは先天法、目の前で起きた出来事から占いたいときは後天法、というように場面に応じて使い分けるのが本来のスタイルとされています。

Q:梅花心易とタロットではどちらが当たりますか? どちらが優れているというものではなく、それぞれ体系も読み解き方も異なる占術です。占いは結果を断定するものというより、自分の状況を整理するための手がかりのひとつとして使うものだと捉えておくと、どの占術も付き合いやすくなると思います。

Q:梅花心易には道具が一切いらないのですか? はい、筮竹や算木のような専用の道具は必要ありません。数字と計算さえできれば立卦できるのが最大の特徴です。ただし卦の象意を調べるための資料(易経の解説書など)は別途あった方が読み解きやすくなります。

Q:変爻(動爻)が出ないことはありますか? 先天法の計算では、6で割った余りが0のときは「6(一番上の爻)」として扱うのが一般的なルールなので、理論上は必ずどれか1つの爻が変爻になります。この点は、必ず変爻が1つ出る略筮法と共通する性質です。

まとめ

梅花心易は、筮竹という道具に頼らず、生年月日や時刻、目についた数字から卦を立てられる易占いです。先天法・後天法という2つのアプローチがあり、体卦・用卦・互卦・変卦という4つの視点で物事を立体的に読み解いていく——ここまで見てきた通り、決して単純な「数字合わせ」ではなく、易経の理論に裏打ちされた占法だということが分かってもらえたのではないかと思います。

本筮法や略筮法といった伝統的な筮竹占いとは道具もプロセスも別物ですが、どちらも根っこにあるのは「今の状況を客観的に見つめ直すための手がかりを得る」という姿勢です。占いの結果がどう出ても、それを踏まえて最終的にどう動くかを決めるのは、いつでも自分自身です。

もし自分で立卦した卦の意味をもっと深く読み解いてみたい、あるいは専門的な視点から相談してみたいと感じたら、電話占いの予約の仕組みと狙い目の時間帯も参考にしてみてくださいね。占いが「当たるかどうか」に振り回されすぎず、自分の気持ちを整理するきっかけとして、気軽に付き合っていけたらいいなと思います。