この記事のポイント
- 易占い(コイン占い)は、コイン3枚を6回投げるだけで自分でできる本格的な東洋占術
- 表と裏の枚数から「陰」と「陽」を判定し、六十四卦(64種の卦)から意味を読み解く
- 八卦(8種の基本図形)を知っておくと、どの卦が出たか素早く特定できるようになる
- 「何を問うか」が大切。具体的・一問一答の形にするほど、結果が解釈しやすくなる
- 易占いは吉凶の断定より「今の状況を俯瞰するための地図」として活用するのがおすすめ

「易占いって難しそう……」と思っていませんか?
確かに、易の土台となる「易経(えきけい)」は、孔子もその深さに感嘆したという古典中の古典です。専門書を開くと難解な漢字がびっしりと並んでいて、入口が見えないまま本棚に戻してしまった——そんな話も少なくないようです。
でも実は、コインを3枚用意するだけで、今日からでも自分で易を立てることができます。この記事では、コインを使った易占いのやり方を初めての方にも分かるようにステップごとにお伝えします。六十四卦の体系や卦の読み方のコツ、そして「どんな問いを立てるか」という大切なポイントまで、丸ごと解説していきますね。
易占いとは? 3,000年の歴史を持つ東洋の知恵
易占いのベースとなる書物「易経(えきけい)」は、今から3,000年以上前の古代中国・周(しゅう)の時代に体系化されたとされています。儒教の五経(ごきょう)のひとつに数えられ、中国文化の根幹をなす古典でもあります。
易の中心にあるのは「陰(いん)と陽(よう)」という概念です。すべての物事は陰と陽の変化で成り立っており、その変化のパターンを64通りの「卦(か)」で表したものが**六十四卦(ろくじゅうしけ)**です。各卦には6本の爻(こう)がありますから、卦辞と爻辞を合わせると実に384通りの解釈が存在することになります。
古代中国では、国家の重要な決断にあたって易を用いたといわれており、単なる占い以上に「変化の理(ことわり)を読む学問」として重んじられてきました。現代の日本でも、東洋哲学の文脈で学ばれるほか、人生の岐路で手を伸ばす思考整理ツールとして親しまれています。
易占いの大きな特徴は、「良い・悪い」を単純に判断するのではなく、今の状況がどんな変化の流れの中にあるかを読み取ろうとする点です。吉凶の断定よりも、現在地を俯瞰するための「地図」として使われることが一般的とされています。
コイン占いを始める前に:準備するもの
コインを使った易占いは、特別な道具が一切必要ありません。以下のものを用意すれば、すぐにでも始められます。
| 必要なもの | ポイント |
|---|---|
| コイン3枚 | 同じ種類・サイズのものを3枚。100円玉3枚が扱いやすくておすすめ |
| 紙とペン | 6回分の投げ結果を書き留めるため |
| 六十四卦の一覧表 | 占術書や公開されているWebツールをあらかじめ用意しておくと便利 |
| 静かな環境 | 気持ちを落ち着けられる場所ならどこでも |
道具よりも大切なのが**「占的(せんてき)」**、つまり「何を占いたいか」を事前にはっきりさせておくことです。ぼんやりとした気持ちのまま始めると、後で結果を読み解くときに迷いやすくなります。「○○について今の心構えを教えてください」「この選択に進むにあたっての見立てを知りたい」——こんなふうに、一問一答で具体的な問いを立てておきましょう。
ステップ別・コイン3枚で卦を立てる手順 ✨
いよいよ実践です。難しく考えずに、まずはやってみることが大切。順を追ってご説明します。
Step 1:心を落ち着け、問いを念じる
目を閉じて深呼吸を数回。占いたいテーマを心の中にはっきりと思い浮かべます。「○○について教えてください」と声に出して問いを唱える方もいらっしゃいます。
100円玉を使う場合、桜の模様がある面を「表(おもて)」、数字が印字された面を「裏(うら)」と決めます。この取り決めは最後まで変えないでください。
Step 2:3枚のコインを振って投げ、陰陽を判定する
コイン3枚を両手に包み、軽くシェイクしてテーブルの上に投げます。表(桜)が出た枚数を数えて、以下の表に照らし合わせましょう。
| 表の枚数 | 名称 | 爻の種類 | 爻の書き方 |
|---|---|---|---|
| 表3枚 | 老陽(ろうよう) | 陽・変爻 | ━ ★変 |
| 表2枚 | 少陽(しょうよう) | 陽・安定 | ━ |
| 表1枚 | 少陰(しょういん) | 陰・安定 | – – |
| 表0枚(裏3枚) | 老陰(ろういん) | 陰・変爻 | – – ★変 |
「爻(こう)」とは、卦を構成する一本一本の横線のことです。陽の爻は一本の長い棒(━)、陰の爻は真ん中が割れた形(– –)で表します。老陽・老陰についた「老」は「変化の直前」を意味しており、後述する「之卦(のか)」を読む際に重要になります。
Step 3:6回繰り返して6本の爻を書き留める
この操作を6回繰り返します。書き留めるときは下から上へ順番に積み上げるのがルールです。
| 回数 | 爻の位置 | 卦の区分 |
|---|---|---|
| 6回目 | 上爻(じょうこう) | 上卦(じょうか) |
| 5回目 | 五爻 | 上卦 |
| 4回目 | 四爻 | 上卦 |
| 3回目 | 三爻 | 下卦(かか) |
| 2回目 | 二爻 | 下卦 |
| 1回目 | 初爻(しょこう) | 下卦 |
6本の爻のうち、下3本(初爻・二爻・三爻)が「下卦」、上3本(四爻・五爻・上爻)が「上卦」です。
Step 4:六十四卦の一覧表で卦を特定し、卦辞を読む
下卦と上卦のそれぞれが八卦のどれに当たるかを照らし合わせ、六十四卦の一覧表から該当する卦を見つけます。その卦の解説(卦辞)を読むことで、占いの大まかな答えが見えてきます。
【事例(フィクション)】
30代のAさんは、今の職場に行き詰まりを感じ転職を考え始めていました。「転職活動を始めることへの心構えを教えてください」と問いを立て、コイン占いを試みたところ、第3卦にあたる**水雷屯(すいらいちゅん)**が出ました。この卦は「困難の初め、前進するには努力が要るが、粘り強く動き続けることで道が開ける」という意味合いで解釈されることが多いとされています。Aさんはその卦辞を「今は焦らず、じっくり準備を続けていい」というメッセージとして受け取り、少し肩の荷が下りたといいます。
※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。
八卦を知っておくと読み解きがぐっと楽になる
六十四卦の構成要素である「八卦(はっか)」を頭に入れておくと、コイン占いの結果を素早く卦に当てはめられるようになります。
| 卦名 | 読み | 象徴(正象) | 性質 |
|---|---|---|---|
| 乾 | けん | 天 | 強健・創造 |
| 坤 | こん | 地 | 従順・受容 |
| 震 | しん | 雷 | 動・始動 |
| 巽 | そん | 風 | 入・浸透 |
| 坎 | かん | 水 | 険・深さ |
| 離 | り | 火 | 麗・明晰 |
| 艮 | ごん | 山 | 止・静止 |
| 兌 | だ | 沢 | 悦・喜び |
八卦はそれぞれ3本の爻の組み合わせで表現されます。たとえば「乾」は陽・陽・陽(三本すべて長い棒)、「坤」は陰・陰・陰(三本すべて割れた棒)です。六十四卦はこの八卦を上下に重ねて作られており、たとえば下卦・上卦がともに「乾」なら第1卦「乾為天(けんいてん)」、ともに「坤」なら第2卦「坤為地」です。最後の第64卦「火水未済(かすいびせい)」まで、64通りの卦が存在します。
易経の研究によれば、六十四卦の体系は単なる占術にとどまらず、「八卦のみではこの世の変化すべてを表せない」という古代の認識から発展したものともいわれています。64という数字は、陰と陽を6回組み合わせた 2の6乗(=64)でもあり、数学的な必然性をも感じさせます。

卦辞・爻辞・之卦の読み解き方
卦が決まったら、以下の3つの要素を順に確認していきましょう。
卦辞(かじ)を読む
卦辞とは、その卦全体のテーマや方向性を示した言葉です。「今の状況全体がどんな変化の流れの中にあるか」を知るための大きな手がかりになります。易占いの入門としては、まず卦辞だけを読むシンプルな方法から始めるのも一つの方法です。
爻辞(こうじ)を参照する
爻辞は、6本の爻それぞれに付けられた解説です。変爻(老陽・老陰)が出た場合、その爻の位置(初爻・二爻・三爻……)に対応した爻辞を読むと、より具体的なヒントが読み取れるとされています。爻の位置は社会的立場や状況の段階を象徴するといわれており、たとえば初爻は「始まりの段階」、五爻は「中心・代表」を示すとされることが多いようです。
之卦(のか)を見る
変爻がある場合、老陽・老陰の陰陽を逆にした卦が「之卦(のか)」です。現在の卦が「今の状況」を示すのに対し、之卦は「変化した先の状況」を暗示すると考えられています。
一般的な解釈の目安として紹介されているのが、
- 変爻が1〜2本の場合:対応する爻辞を重視して読む
- 変爻が3本以上の場合:之卦の卦辞を中心に読む
という方法です。変爻が多いほど変化の力が強いとされており、之卦との対比から「今から先の展開」が読み取りやすくなります。
【事例(フィクション)】
20代のBさんは、職場で知り合った気になる相手との距離の縮め方に悩んでいました。「この人との関係を深めようとする今の流れについて教えてください」と問いを立ててコイン占いを行ったところ、3箇所に変爻が現れました。出た卦は「内を充実させ、静かに待つ時期」という意味合いで解釈されることが多く、之卦は「前へ踏み出す・展開する」方向への変化を示していました。Bさんは「今は焦って動かず、自分自身を整える時期なのかもしれない」というメッセージとして受け取り、少し気持ちが楽になったといいます。
※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。
易占いの「問いの立て方」が結果を左右する
コイン占いをしてみたものの「どう解釈すればいいのか分からない……」となりやすい原因のひとつが、問いのぼんやりさです。「私の将来はどうなりますか?」「うまくいきますか?」のような問いでは、返ってくる答えも幅広くなり、読み解きが難しくなってしまいます。
問いの立て方・良い例:
- 「今の職場でのプロジェクトを続けることへの心構えを教えてください」
- 「○○さんとの距離を縮めようとする今の流れの見立ては?」
- 「引っ越しを決断するにあたって、注意すべきことは何でしょうか?」
避けた方が良い問いの例:
- 「宝くじは当たりますか?」(結果の断定を求める問い)
- 「あの人は私のことを好き?」(他者の内面を断定する問い)
- 「将来、幸せになれますか?」(テーマが広すぎる)
占いに慣れていない方が陥りやすいのが、「当たる答え」を求めて同じテーマを繰り返し占ってしまうこと。公開されている易の解説の多くで、「一度占ったことを立て続けに占い直さない」という姿勢が大切とされています。気に入らない答えが出たからといって何度も問い直すのは、自分が望む結果を探してさまようようなもの。一回ごとに丁寧に受け取る姿勢が、易占いを活かすコツのひとつといえそうです。

まとめ:易占いは「自分の心と対話するツール」
易占い・コイン占いの魅力は、シンプルな道具と手順で、3,000年の叡智にアクセスできるところにあります。今回の内容を振り返っておきましょう。
- コイン3枚を6回投げるだけで卦が完成する
- 表の枚数で「少陰・少陽・老陰(変爻)・老陽(変爻)」を判定し、下から積み上げて卦を作る
- 八卦を覚えると、六十四卦のどれに当たるかを素早く特定できる
- 卦辞・爻辞・之卦の3段階で、読み解きの幅が大きく広がる
- 問いは「具体的・一問一答・テーマは一つ」に絞ることが大切
- 同じことを繰り返し占わず、一回ごとに丁寧に受け取る姿勢が肝心
易占いは「絶対にこうなる」と未来を断言するものではありません。今の自分の状況を64通りの象徴で映し出し、「こんな角度から考えてみては?」と問いかけてくれるもの。占いの言葉を通じて、自分の本音や本当に優先したいことが浮かび上がってくることもある——そういった使い方をしている方も多いようです。
ぜひ一度、コインを3枚手に取って、静かに問いを立ててみてください。六十四卦のどんな言葉があなたに届くか、きっと興味深い時間になるはずです。