この記事のポイント
- ウェイト版は小アルカナ56枚すべてに絵が描かれ、直感的に読みやすいのが最大の特徴
- マルセイユ版は数札がシンプルな図柄で、数字と象徴の知識を使って読み解くタイプ
- 初心者には基本的にウェイト版がおすすめだが、象徴をじっくり学びたい人にはマルセイユ版も向いている
- 大アルカナの「力」と「正義」の番号が入れ替わっているなど、見た目以外の構造的な違いもある
- どちらか一つに絞らず、目的によって使い分ける・併用するという選び方もできる
タロット売り場やネットショップでデッキを選ぼうとして、「ウェイト版」「マルセイユ版」という見慣れない表記に手が止まったこと、ありませんか? 同じ78枚のカードのはずなのに、絵柄も色合いもまったく違う。どっちを買えばいいのか分からないまま、結局選べずページを閉じてしまった……という方、意外と多いんじゃないかなと思います。
実はこの2つ、単なる”絵のタッチの違い”ではありません。生まれた時代も、カードの構成も、読み解き方のアプローチそのものが異なります。この記事を読めば、それぞれの成り立ちと特徴、そして「自分は結局どちらから始めるべきか」がはっきり見えてくるはずです。先に結論だけ言ってしまうと、多くの初心者にはウェイト版が向いています。でも、それだけで終わらせるにはもったいない奥行きがマルセイユ版にはあるんです。順番に見ていきますね。
ウェイト版とマルセイユ版、結局どこがどう違うの?
ウェイト版とマルセイユ版の最大の違いは、小アルカナ56枚すべてに人物が描かれた「絵」があるかどうかです。ウェイト版は全78枚に場面描写があり、マルセイユ版は大アルカナ22枚にしか寓意画がありません。まずは全体像を表で整理してみます。
| 項目 | ウェイト版(ライダー版) | マルセイユ版 |
|---|---|---|
| 誕生時期 | 1909年 イギリス | 17〜18世紀 フランス(名称定着は20世紀) |
| 大アルカナ22枚 | 寓意画あり | 寓意画あり |
| 小アルカナ56枚 | 全56枚に物語のある絵 | 数札はシンプルな図柄(絵なし) |
| 色使い | 多彩・写実的 | 赤・青・黄が基調の木版画調 |
| 読み方の中心 | 絵から直感で意味を汲み取る | 数字・四元素・象徴知識で読み解く |
| 代表的なデッキ | ライダーウェイト版、多数の派生デッキ | コンヴェル版、カモワン版 |
こうして並べると、両者の性格の違いがくっきりしますよね。ウェイト版は「見て感じる」タイプ、マルセイユ版は「知って読む」タイプ、というのが一番シンプルな捉え方だと思います。どちらが優れているという話ではなく、アプローチの方向性が違うだけなんです。
ウェイト版(ライダー版)とは?1909年に生まれた「絵で語る」タロット
ウェイト版とは、1909年にロンドンで出版された、大アルカナ・小アルカナ全78枚に物語性のある絵が描かれたタロットデッキのことです。神秘主義結社「黄金の夜明け団」のメンバーだったアーサー・エドワード・ウェイトが構想し、同じく団員だったイラストレーター、パメラ・コールマン・スミスがわずか半年ほどで全カードを描き上げたと伝えられています(タロットパレット、タロットファン.jpなどの解説より)。出版元がロンドンのライダー社だったことから「ライダー版」とも呼ばれ、ウェイト版とライダー版は同じデッキを指す呼び方の違いにすぎません。
ここが革命的だったのは、それまで数字と記号だけだった小アルカナの数札に、具体的な人物や情景を描き込んだ点です。たとえば「カップの5」なら、こぼれた3つのカップを前にうなだれる人物と、まだ無事な2つのカップという場面が描かれている。数字の意味を暗記していなくても、絵そのものが状況を語りかけてくるので、初心者でも直感的にメッセージを受け取りやすいんですね。現在流通しているタロット入門書の多くがウェイト版を基準に解説しているのも、この読みやすさが理由だと考えられます。
マルセイユ版とは?木版画から続く「象徴で読む」伝統
マルセイユ版とは、17〜18世紀のフランスで木版画職人たちが手がけた古典的なデザインを起源とするタロットの系統のことです。「マルセイユ版」という呼び名自体が広まったのは20世紀に入ってから。1930年代にフランスのグリモー社が、18世紀の職人ニコラ・コンヴェルの版木をもとにした復刻版を「タロット・ド・マルセイユ」として売り出したことで定着したとされています。近年ではフィリップ・カモワンと映画監督アレハンドロ・ホドロフスキーが、劣化した版木の欠損部分を研究し直して復元した「カモワン版」も、現代のマルセイユ版として広く親しまれています。
マルセイユ版最大の特徴は、小アルカナの数札に絵がなく、棒・貨幣・剣・杯という4つのスート(組み札)の図柄と数字だけで構成されている点です。読み解くには、1〜10の数字が持つ数秘術的な意味と、四元素(火・土・風・水)の性質を組み合わせる必要があります。正直、これは初心者にはややハードルが高いところ。ただ、絵に頼らない分、自分の感性で象徴を読み解く自由度は高く、伝統的な解釈体系をじっくり学びたい人には根強い人気があります。マルセイユ版は「答えを見せてくれる」というより「問いを深めさせる」デッキ、と言えるかもしれません。
【事例(フィクション)】
20代後半のAさんは、片思いの相手との距離感に迷いを感じ、書店でウェイト版のタロット入門書を手に取りました。自己流で引いた1枚「ソードの2」——目隠しをした人物が2本の剣を交差させて構える絵——を見て、「自分は今、答えを出すのを避けているのかもしれない」と感じたそうです。絵からストレートにメッセージが伝わってきたことで、迷いの正体が少し輪郭を持って見えてきたといいます。片思いの相手との相性がもっと気になる方は、西洋占星術の金星サインから相性を見る方法も参考にしてみてください。
※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。
初心者はどっちを選ぶべき?4つの判断軸
結論から言うと、多くの初心者にはウェイト版をおすすめします。ただし、次の4つの問いに答えていくと、自分に合うデッキがより明確になります。
- すぐに読み始めたいか、じっくり学ぶ時間を楽しみたいか:前者ならウェイト版、後者ならマルセイユ版も選択肢に
- 絵柄そのものに惹かれるか:手に取ったときに「きれい」「気になる」と感じるかどうかは、続けやすさに直結します
- 数秘術やカバラなど、他の象徴体系にも興味があるか:あるならマルセイユ版の学習が二重に楽しめます
- 将来的にもっと深く象徴を読み解きたいか:入口はウェイト版でも、後からマルセイユ版に進む人は少なくありません
この記事のポイントは、「どちらか一つに正解を決めなくていい」ということです。迷ったらまずウェイト版から始めて、大アルカナ22枚の意味に慣れてきたタイミングでマルセイユ版に触れてみる。そんな段階的な付き合い方が、無理なく長く続けられるコツだと思います。
見落とされがちな違い ─「力」と「正義」の番号、なぜ入れ替わった?
マルセイユ版では「正義」が8番、「力」が11番なのに対し、ウェイト版ではこの2枚の番号が逆になっています。地味なようで、実はこれ、両者の設計思想の違いがよく表れているポイントなんです。
ウェイトは黄金の夜明け団のカバラ的な思想や占星術的な対応関係を取り入れる中で、この2枚の順番を入れ替えたとされています(タロットパレットの解説より)。さらにウェイト版では、キリスト教色の強かった「法王(Pope)」「女法王(Papess)」というカード名も、より宗教中立的な「ハイエロファント(教皇)」「ハイプリエステス(女教皇)」へと改められました。つまりウェイト版は、単に絵を足しただけのリメイクではなく、神秘思想の体系を組み込んで再設計されたデッキだった、ということですね。マルセイユ版の伝統的な番号や名称を大切にする人がいるのも、こうした背景を知ると納得できるのではないでしょうか。
【事例(フィクション)】
40代のBさんは、長年の仕事のやり方に行き詰まりを感じ、知人に勧められてマルセイユ版のタロットに触れてみました。数字の意味を一つずつ調べながら引いた大アルカナの「隠者」は、ランタンを手にひとり歩む老賢者の姿。絵に頼らず自分で象徴を紐解いていく過程そのものが、頭の中を整理する時間になったといいます。「答えをもらう」より「自分で考える」感覚が新鮮だった、とのことでした。
※この事例はフィクションであり、実在の人物や出来事とは関係ありません。
両方使ってみたくなったら ─ 併用という選択肢
ウェイト版とマルセイユ版は、どちらか一方を選んだら一生そのままというものではありません。実際、日常のちょっとした気持ちの整理にはウェイト版でさくっと1枚引き、腰を据えて自分の内面と向き合いたいときはマルセイユ版でじっくり数字を読み解く、という使い分けをしている人もいます。
両方揃えるのはハードルが高いと感じるなら、まずはウェイト版で78枚の基本的な意味に親しみ、慣れてきたらマルセイユ版の入門書を一冊読んでみる、という順番がおすすめです。逆にマルセイユ版の象徴解釈に先に惹かれたなら、そこから始めても構いません。大切なのは、自分が「続けたい」と思える相性の良さです。カード選びに正解はなく、手に取ったときにしっくりくる感覚を優先していいと思いますよ。
よくある質問
Q:ウェイト版とマルセイユ版、どちらが「当たる」んですか? どちらか一方が当たりやすいということはありません。タロットは未来を断定するものではなく、今の状況を整理し、気づきを得るための道具として使われています。当たる・当たらないよりも、自分がメッセージを受け取りやすいかどうかで選ぶ方が実用的です。
Q:初心者がいきなりマルセイユ版から始めるのは無謀ですか? 無謀というほどではありませんが、遠回りにはなりやすいです。数字と四元素の知識を先に身につける必要があるため、最初の1〜2ヶ月は挫折しやすい傾向があります。ウェイト版で絵の読み方に慣れてから移行する方がスムーズだと思います。
Q:ウェイト版とライダー版は別のデッキなんですか? 同じデッキを指す呼び方の違いです。デザイナーのパメラ・コールマン・スミスと構想者のアーサー・エドワード・ウェイトの名前、そして出版元のライダー社の名前、どこに注目するかで呼び方が変わっているだけと理解しておけば大丈夫です。
Q:トートタロットとはどう違うんですか? トートタロットは、20世紀のオカルティスト、アレイスター・クロウリーが監修した第三の系統です。占星術やカバラの対応関係がより濃く反映された上級者向けのデッキとされ、ウェイト版・マルセイユ版とはまた別の学習が必要になります。
Q:デッキはどこで選べばいいですか? 実物を手に取れる占い専門店や書店のほか、オンラインショップでも購入できます。初めての1組なら、日本語の解説書がセットになっているものを選ぶと、届いたその日から学び始められて安心です。
まとめ
ウェイト版とマルセイユ版の違いは、単なる絵柄の好みの問題ではなく、「絵で直感的に読むか」「数字と象徴で読み解くか」という読み方そのものの違いです。初心者はまずウェイト版から入り、慣れてきたらマルセイユ版の奥行きに触れてみる。そんな順番が、無理なく長くタロットと付き合っていくコツだと思います。
どちらのデッキを選んでも、タロットは「未来を決めつけるもの」ではなく「今の自分の気持ちを整理する手がかり」です。もし自分で引いたカードの意味がうまく掴めない、誰かに客観的な視点で読んでもらいたいというときは、電話占いのおすすめサービスを頼ってみるのも一つの方法ですよ。あなたに合う一枚、いえ一組が見つかりますように。